親が亡くなったあとの手続き|7日・14日・3か月の期限順チェックリスト
役所・年金・保険・解約を、何からいつまでに進めるか
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葬儀が終わり、葬儀社からもらった手続きの案内を開いてみても、どの手続きにいつまでの期限があるのか分からない。実家は遠く、役所に何度も通えるわけでもない。
この記事は、親が亡くなった日から数か月のあいだにある役所・年金・保険・契約の手続きを、期限の順に並べたものです。期限は戸籍法・住民基本台帳法・介護保険法施行規則などの条文(e-Gov法令検索)と、日本年金機構・法務省・市区町村の案内で確かめた内容を書いています(参照日は各出典に記載)。
相続の財産と借金の調べ方は「親が亡くなったら相続で最初に調べること」、葬儀費用と葬祭費は「親の葬儀費用は誰が払う?」で扱っています。
先に結論
- 最初の7日以内に出すのは死亡届と火葬許可の申請。役所への持ち込みは葬儀社に頼めることがあるので、頼んだかどうかを確かめる
- 14日以内が目安なのは、国民健康保険の資格喪失、介護保険の資格喪失届、世帯主変更(15歳以上の人が2人以上残る場合)。後期高齢者医療は、死亡届を受けて自動で処理する市区町村もある
- 年金は、日本年金機構にマイナンバーが収録されていれば死亡届は原則不要。ただし未支給年金の請求は別に必要
- 3か月(相続放棄)・4か月(準確定申告)・10か月(相続税)・3年(相続登記)は相続の期限。放棄の可能性があるうちは実家の片付けを急がない
- 動き出す前に、実家のある市区町村に「おくやみ窓口」があるかを公式サイトで確かめる
→ 期限の順の一覧表を見る
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期限の順の一覧表
手続きの期限を短い順に並べ、受け取れるお金の時効は表の後半にまとめました。数え始めの日は手続きごとに違います(「死亡の事実を知った日から」「相続の開始があったことを知った日の翌日から」など)。
市区町村によって扱いが違う手続きは、実家のある市区町村の案内で確かめてください。
| 手続き | 期限 | 手続きをする先 | 注意・根拠 |
| 死亡届・火葬許可の申請 | 7日以内 (国外で亡くなった場合は3か月以内) | 死亡地・本籍地・届出人の所在地のいずれかの市区町村 | 死亡の事実を知った日から。医師の死亡診断書(または死体検案書)を添える(戸籍法86条)。火葬には市区町村長の許可が要る(墓地埋葬法5条) |
| 年金の受給停止(死亡届) | 原則不要/必要な場合は10日・14日以内 | 年金事務所・街角の年金相談センター (障害基礎年金・遺族基礎年金だけを受けていた場合は市区町村) | 日本年金機構にマイナンバーが収録されていれば原則不要。必要な場合は厚生年金10日以内・国民年金14日以内。届出が遅れて受け取りすぎた年金は、あとで返す |
| 国民健康保険の資格喪失 | 14日以内 (横浜市などの案内) | 実家のある市区町村 | 亡くなった日の翌日が資格を失う日(横浜市の案内)。保険証・資格確認書の返却は必要 |
| 後期高齢者医療の資格喪失 | 届出の要否は市区町村で確認 (死亡届を受けて自動で処理する区市町村もある) | 実家のある市区町村 | 文京区は、死亡届が出されると区が手続きを進めると案内している。資格確認書などの返却は必要 |
| 介護保険の資格喪失届 | 14日以内 (介護保険法施行規則32条) | 介護保険の被保険者証を出している市区町村の介護保険の窓口 (施設に入っていて住所地特例が適用されていた場合は、入所前の市区町村。介護保険法13条) | 被保険者証と負担割合証を返す(負担限度額認定証などを交付されていた場合はそれも)。受付の方法は市区町村で違う |
| 世帯主変更届 | 14日以内 (住民基本台帳法25条) | 実家のある市区町村 | 同じ世帯に15歳以上の人が2人以上残る場合に必要。1人だけ残る場合など、新しい世帯主が誰か決まっているときは不要とする市区町村が多い |
| 勤務先の健康保険の資格喪失 | 勤務先が手続きする | 勤務先 | 会社員などとして勤務先の健康保険に入っていた場合。家族は勤務先に連絡する |
| 公共料金・携帯電話・クレジットカード・サブスク | 決まった期限はない (請求が続くので早めに) | 各社 | 引き落とし先が親の口座なら、支払い方法の変更も連絡する |
| 金融機関への相続の連絡 | 決まった期限はない | 各金融機関の相続の窓口 | 連絡すると、亡くなった方の口座の取引は原則として制限される(全国銀行協会) |
| 相続放棄・限定承認 | 3か月以内 | 亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所 | 自分のために相続の開始があったことを知った時から(民法915条1項)。期間の伸長を申し立てられる(申立ても3か月以内) |
| 準確定申告 | 4か月以内 | 亡くなった方の死亡当時の納税地の税務署(所得税法16条) | 相続の開始があったことを知った日の翌日から(所得税法125条)。申告が必要な場合に相続人がする |
| 相続税の申告・納税 | 10か月以内 | 税務署 | 相続の開始があったことを知った日の翌日から(相続税法27条・33条)。遺産の額が基礎控除を超える場合などに必要。小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減は申告書を出して受ける制度なので、特例で税額が0円になる場合も申告が要るかを税務署か税理士に確認 |
| 相続登記 | 3年以内 | 法務局 | 不動産を相続で取得したことを知った日から。2024年4月1日より前の相続で未登記のものは2027年3月31日まで。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になりうる |
| 受け取れるお金の請求(期限は申請できなくなる時効の上限) |
| 葬祭費・埋葬料 | 葬祭費は2年 | 親が住んでいた市区町村/加入していた健康保険 | 葬祭費は葬祭を行った日の翌日から2年。会社の健康保険の埋葬料は加入先に期限を確認 |
| 高額療養費 | 時効2年 | 加入していた医療保険の窓口 | 国民健康保険法110条(後期高齢者医療は高齢者医療確保法160条、勤務先の健康保険は健康保険法193条)。起算日と申請方法は窓口に確認 |
| 高額介護サービス費・介護保険料の還付 | 時効2年 | 介護保険の被保険者証を出している市区町村 | 介護保険法200条。起算日は個別に違うので窓口に確認 |
| 未支給年金の請求 | 時効5年 | 年金事務所・街角の年金相談センター | 起算日は、受給権者の年金の支払日の翌月の初日(日本年金機構の時効の表)。年金の死亡届とは別に請求する |
| 遺族年金の請求 | 時効5年 | 年金事務所 | 年金を受ける権利の発生から5年。遺族年金を受け取れるかどうかは年金事務所に確認 |
受け取れるお金の期限は、申請できなくなる時効の上限です。上限まで待つ理由はないので、ほかの手続きで窓口に行ったときに一緒に聞いておくと二度手間が減ります。
7日以内:死亡届と火葬許可
死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内に出します(国外で亡くなった場合は3か月以内。戸籍法86条1項)。届書には医師の死亡診断書(または死体検案書)を添えます(同条2項)。
出せる先は、死亡地・本籍地・届出人の所在地のいずれかの市区町村です(戸籍法25条・88条)。
届け出る義務があるのは同居の親族などですが、同居していない親族も届け出られます(戸籍法87条2項)。届出人の所在地でも出せるので(戸籍法25条)、離れて暮らす子が届出人になり、自分の住む市区町村に出すこともできます。
火葬には市区町村長の許可が要り、許可は死亡届を受理した市区町村長が出します(墓地埋葬法5条)。申請の窓口や許可証の受け取り方は市区町村で違うので、葬儀社か市区町村の窓口に確認してください。
役所への持ち込みは葬儀社に頼めることがある
届出人の欄は親族などが書きます。死亡届の提出と火葬許可証の受け取りは、葬儀社に頼めることがあります。葬儀の打ち合わせで「死亡届の提出も頼めるか」を聞いておくと、その分だけ役所に行く回数が減ります。
頼んだ場合も、提出が済んだかと、火葬許可証を誰が持っているかを確かめてください。
死亡届は出すと手元に戻らないとされています。出す前にコピーを取っておくと内容を見返せます。保険の請求などで何の書類が要るかは、各保険会社に確認してください。
葬儀の打ち合わせについて、国民生活センターは、見積書を受け取って明細まで確認すること、親族など複数人に同席してもらうことを助言しています(2026年6月3日公表)。
葬儀の形式ごとの違いと見積書で確かめる項目は「家族葬・一日葬・直葬(火葬式)の違い」で説明しています。
14日以内(年金は10日以内の場合あり):役所と年金の手続き
死亡届が済んだら、実家のある市区町村と年金の手続きに移ります。市区町村の手続きは担当の課が分かれていることが多く、まとめて案内する「おくやみ窓口」を設けている市区町村もあります(おくやみ窓口の確かめ方)。
年金の受給停止(死亡届)
日本年金機構のよくある質問(2025年11月4日更新)は、年金の受給者が亡くなったときの手続きを次のように案内しています。
- 日本年金機構にマイナンバーが収録されている方は、「年金受給権者死亡届(報告書)」は原則として出さなくてよい。
- 届出が必要な場合は、厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内に、年金事務所か街角の年金相談センターに出す。障害基礎年金・遺族基礎年金だけを受けていた方の場合は市区町村に出す。
- どちらの場合も、まだ受け取っていない年金(未支給年金)の請求は別に必要。
- 届出が遅れて、亡くなった日の翌日以後に年金を受け取った場合は、あとで返す。
マイナンバーが収録されているかどうかは、家族には分からないことがあります。年金証書や振込の通知を手元に用意して、年金事務所かねんきんダイヤルで確かめてください。
なお、日本年金機構の手続きの案内ページ(2026年4月1日更新)は、日数ではなく「すみやかに」提出するよう書いています。
国民健康保険・後期高齢者医療の資格喪失と保険証の返却
国民健康保険に入っていた場合、横浜市は、資格喪失の届出を14日以内とし、亡くなった日の翌日が資格を失う日だと案内しています。75歳以上は原則として後期高齢者医療に入っていて、その資格も亡くなったことで失われます。
死亡届を受けて市区町村が自動で処理し、家族の届出が要らない場合もあります。たとえば文京区の後期高齢者医療は、死亡届が出されると区が手続きを進めます。
届出が要らない場合でも、保険証・資格確認書の返却と葬祭費の申請は必要になるので、おくやみ窓口か担当の課で確かめてください。
介護保険の資格喪失届と被保険者証の返却
介護保険法施行規則32条は、資格を喪失したときは14日以内に届書を市町村に出すと定めています。届書には被保険者証と負担割合証を添えます(同33条2項)。
鹿児島市は、負担限度額認定証などを交付されていた場合は被保険者証とあわせて返すよう案内しています。
出し方は市区町村で違います。堺市は、死亡届を出したあとに区役所で届出を受け付け、郵送や電子申請でも手続きできると案内しています。横浜市は、家族がマイナンバーカードを使ってマイナポータルからオンラインで出せるようにしています。
どの方法が使えるかは、実家のある市区町村の案内に載っています。
65歳以上の方の介護保険料は、亡くなったあとに月割りで計算し直され、納めすぎていれば相続人に返され、足りなければ相続人が納めます(鹿児島市の案内)。
どの月の分までになるかは、市区町村から届く通知で確かめてください。要介護認定を申請している途中で亡くなった場合は、申請を取り消す手続きを案内している市区町村があります(鹿児島市など。様式や出す人は市区町村で違います)。
住宅改修費や福祉用具の購入費など、立て替えて払い戻しを待っている介護保険の給付があれば、相続人が申請します(鹿児島市の案内)。添える書類(戸籍謄本など)は市区町村で違います。
レンタル中の福祉用具はケアマネジャーと事業所に連絡する
介護保険でレンタルしていた用具は、担当の福祉用具貸与事業所に連絡して引き取りを頼みます。購入した用具(特定福祉用具)は、レンタルと違って返す先がありません。
月の途中で利用をやめたときの貸与料の精算(日割り・半額・月額など)は、事業所によって扱いが違う例があります(藤沢市の福祉用具貸与のQ&A)。
引き取りの日とあわせて、担当の福祉用具貸与事業所とケアマネジャーに確認してください。ケアマネジャーには亡くなったことを早めに伝え、通っていたデイサービスなど、利用していた介護サービスの事業所への連絡もあわせて確かめておきます。
世帯主変更(15歳以上の人が2人以上残る場合)
亡くなったのが世帯主で、同じ世帯に15歳以上の人が2人以上残る場合は、新しい世帯主を決めて14日以内に届け出ます(住民基本台帳法25条、中央区・北九州市の案内)。
残る人が1人だけの場合など、新しい世帯主が誰か決まっているときは、届出は要らないとする市区町村が多いです。
誰を世帯主にするかで、国民健康保険料などの扱いが変わることがあります(決め方は下のよくある質問)。
勤務先の健康保険に入っていた場合
親が会社員などとして勤務先の健康保険に入っていたなら、資格喪失の手続きは勤務先がします。家族は勤務先に亡くなったことを連絡し、そのときに保険証などの返し方も聞いておきます。埋葬料の申請先も、加入していた健康保険です。
おくやみ窓口があるか確かめる(予約・持ち物の確認)
亡くなったあとの市区町村の手続きをまとめて案内する「おくやみ窓口(おくやみコーナー)」を設けている市区町村があります。設けていない市区町村もあり、予約が要るかどうか、どこまで一度に受け付けるかも市区町村ごとに違います。
高山市の「おくやみハンドブック」は、窓口を使わずに各課で直接手続きすることもできると案内しています。
実家のある市区町村の公式サイトで「おくやみ」と検索すると、窓口の有無や、手続きの一覧(ハンドブック)が見つかることがあります。一覧にある持ち物をそろえてから行くと、窓口に通う回数を減らせます。
できるだけ早く:公共料金・携帯・カード・サブスク・口座の連絡
解約や名義変更には、法律で決まった期限はありません。ただ、契約が続く限り請求は届き続けます。
- 電気・ガス・水道は、実家に住み続ける家族がいれば名義を変え、空き家になるなら解約を各社に連絡します。片付けの間に使うなら、止める日を片付けの予定と合わせます。
- 携帯電話は、解約する前に、連絡先やネット銀行のアプリなどの手がかりを確かめます(理由は下のデジタル遺品の項目)。
- クレジットカードやサブスクは、カード会社と各サービスに連絡して利用を止めます。どこと契約していたか分からないものは、通帳やカードの明細に残る引き落としの記録から探します。
公共料金やカードの引き落とし先が故人の口座なら、金融機関に相続の連絡をしたあとは引き落とせなくなることがあります。その前後に各社に連絡して、支払い方法を変えておきます。
相続放棄を考えているなら、解約や名義変更の前に「親が亡くなったら相続で最初に調べること」の注意を読んでください。
口座の取引制限と払戻し制度
全国銀行協会は、金融機関に相続の連絡をすると、亡くなった方の口座の取引(入出金など)は原則として制限されると案内しています。制限の範囲や時期は、金融機関ごとに違います。
葬儀費用などのために、遺産分割の前でも、相続人が単独で、口座ごとに一定の額(同じ金融機関からは150万円が上限)まで払い戻せる制度があります(民法909条の2・法務省令)。
相続放棄を考えている場合は、払い戻しを受ける前に弁護士・司法書士に相談してください。計算の仕方と、兄弟で葬儀費用を分ける手順は「親の葬儀費用は誰が払う?」で説明しています。
デジタル遺品(スマホ・ネット銀行・サブスク)
国民生活センターは2024年11月に、故人のスマホが開けず契約先が分からないネット銀行、1か月以上たっても終わらないコード決済の相続手続き、IDとパスワードが分からず止められないサブスクの請求、といった相談事例を紹介しています。
手がかりになるのは、通帳やカードの明細に残る引き落としの記録と、届く郵便物やメールです。携帯電話を解約する前に、連絡先やネット銀行・コード決済のアプリなどの手がかりを確かめます。
親が元気なうちに置き場所を聞いておく話は「親が元気なうちに聞いておくこと」で扱っています。
受け取れるお金の申請(時効は2年・5年)
亡くなったあとに家族が請求できるお金には時効があります。下の期限は、申請できなくなる上限です。
| お金 | 時効 | 申請先・詳しく |
| 未支給年金 | 5年 | 年金事務所・街角の年金相談センター(この章の下で説明) |
| 遺族年金 | 5年 | 年金事務所。受け取れるかどうかも年金事務所に確認 |
葬祭費 (国民健康保険・後期高齢者医療) | 2年 | 親が住んでいた市区町村。金額と申請する人は「親の葬儀費用は誰が払う?」の葬祭費の章 |
埋葬料 (勤務先の健康保険) | 加入先に確認 | 加入していた健康保険 |
| 高額療養費 | 2年 | 加入していた医療保険の窓口。起算日も窓口に確認 |
| 高額介護サービス費・介護保険料の還付 | 2年 | 介護保険の被保険者証を出している市区町村。起算日も窓口に確認 |
未支給年金と遺族年金
未支給年金は、亡くなった時点でまだ受け取っていなかった年金と、亡くなったあとに振り込まれた年金のうち、亡くなった月分までの年金です。請求できるのは亡くなった方と生計を同じくしていた遺族で、順位は配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、それ以外の3親等内の親族です。
先の順位の人がいれば、後の順位の人は受け取れません。
請求には、亡くなった日より後に交付された戸籍や住民票の書類が要ります(日本年金機構の案内)。年金の死亡届が要らない場合でも、この請求は別に出します。
時効は5年ですが、日本年金機構の時効の表は、起算日を「受給権者の年金の支払日の翌月の初日」としています。亡くなった日から数えるわけではないので、個別の起算日は年金事務所で確かめてください。
遺族年金は、年金を受ける権利の発生から5年で時効になります。遺族年金を受け取れるかどうかは加入の記録などで変わるため、この記事では扱いません。年金事務所に確認してください。
葬祭費・高額療養費・高額介護サービス費
葬祭費の期限は、「親の葬儀費用は誰が払う?」に載せた自治体の案内では、いずれも「葬祭を行った日の翌日から2年」です。会社の健康保険の埋葬料は、加入していた健康保険に期限を確認してください。
亡くなる前の入院などで、医療費や介護サービスの自己負担が上限を超えていた月があれば、高額療養費や高額介護サービス費の払い戻しを受けられることがあります。
払い戻しを受ける権利は2年で時効になります(国民健康保険法110条・介護保険法200条。後期高齢者医療は高齢者医療確保法160条、勤務先の健康保険は健康保険法193条に同じ趣旨の定めがあります)。
いつから2年かは事案によって違うので、加入していた保険の窓口に確認してください。
3か月以降:相続の手続き
相続の期限は、亡くなった日ではなく「相続の開始があったことを知った時」や「知った日の翌日」から数えるものが多くあります。
- 相続放棄・限定承認は、知った時から3か月以内に家庭裁判所に申述します。決められないときは、同じ3か月以内に期間の伸長を申し立てられます(民法915条1項)。
- 準確定申告は、申告が必要な場合に相続人が4か月以内に出します(所得税法125条)。
- 相続税の申告と納税は10か月以内です(相続税法27条・33条)。遺産の額が基礎控除を超える場合などに申告が要ります。小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減は、申告書を出して受ける制度です(国税庁の案内)。
- 相続登記は、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内です。2024年4月1日より前の相続で未登記のものは、2027年3月31日までに申請が必要です。
遺言書があるかどうかを先に確かめます。法務局に預けられた自筆の遺言書の探し方は「親の自筆の遺言書を法務局に預けるまで」の、預けたあと家族がすることの章で説明しています。
相続人の確定、財産と借金の調べ方、時間がかかる照会を先に出す順番は「親が亡くなったら相続で最初に調べること」にまとめています。
申告が必要かどうかは税務署か税理士に、相続放棄をするかどうかの判断は家庭裁判所か弁護士・司法書士に相談してください。実家を売る・貸す・置いておくの判断は「実家が空き家になったらどうする」で説明しています。
相続人の中に、認知症などで遺産分割の話し合いや手続きの判断が難しい方がいる場合は、成年後見の制度を使うかどうかを考えることになります。制度の違いは「認知症の親のお金を守る|成年後見・任意後見・家族信託の違い」で説明しています。
個別の進め方は家庭裁判所か弁護士・司法書士に相談してください。
兄弟で分担する・遠方から手続きするとき
手続きの窓口が分かれているので、どこでもできる手続きと、実家のある市区町村でする手続きに分けて考えると、兄弟で受け持ちを決めやすくなります。
- 死亡届は、届出人の所在地の市区町村にも出せます(戸籍法25条)。離れて暮らす子が届出人になる場合は、自分の住む市区町村に出すこともできます。
- 国民健康保険・介護保険・世帯主変更は、実家のある市区町村の手続きです。介護保険の資格喪失届のように、郵送や電子申請を受け付けている市区町村もあります。
- 年金は、年金事務所か街角の年金相談センターの窓口で手続きでき、未支給年金の請求は年金事務所に郵送でもできると日本年金機構は案内しています。
誰が何を受け持ったかと、出した書類・受け取った控えを、兄弟全員が見られる形で残しておくと、同じ書類を二度取り寄せる手間が省けます。兄弟での役割やお金の分け方の決め方は「親の介護を兄弟でどう分担するか」で扱っています。
戸籍の広域交付(窓口に行ける人が使う方法)
2024年3月1日から、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍謄本などを請求できるようになりました(広域交付)。請求できるのは本人・配偶者・父母や祖父母・子や孫で、兄弟姉妹は含まれません。
窓口に本人が行き、顔写真付きの身分証明書を見せる必要があり、郵送や代理人による請求はできません。
子から見て親は請求できる範囲に入るので、親の戸籍は、子が自分の住む市区町村の窓口で請求できます。一方、兄弟姉妹の戸籍を広域交付で取ることはできません。
郵送請求と委任状で進める手続き
窓口に行けない場合は、郵送で請求する方法があります。請求先は本籍地の市区町村です。請求書の様式・手数料・支払い方法は、その市区町村の案内で確かめてください。
兄弟の誰かに代わりに窓口へ行ってもらう場合は、委任状が要る手続きがあります。広域交付は代理人ではできないので、代理人に頼むなら本籍地の市区町村の窓口に行ってもらうか、郵送で請求することになります。
委任状の様式は、市区町村や手続きごとに違います。
実家の片付けはいつから
相続放棄や限定承認の可能性があるうちは、実家の片付けを急がないでください。民法921条1号は、相続財産の全部または一部を処分したときは単純承認(借金も含めて引き継ぐこと)をしたものとみなすと定めています。
どの行為が処分に当たるかは事情によって変わります。判断がつかないときは、弁護士・司法書士か家庭裁判所に聞いてください。
相続放棄をするかどうかが決まるまでは、通帳・権利証・保険証券・郵便物などの書類と貴重品を探して、実家の一か所にまとめるだけにしておきます。あとの手続きで必要な書類をなくさずにすみます。
迷う場合の考え方は「親が亡くなったら相続で最初に調べること」で説明しています。
相続放棄をしないと決まったら、自分たちで片付けるか、業者に頼むかを決めます。自分たちでやる手順と最初に抜き出す物は「遺品整理を自分でやる手順と道具」、業者に頼む場合の費用の目安と見積もりの取り方は「遺品整理の費用相場と見積もりの取り方」、仏壇や位牌は「実家の仏壇・位牌はどうする?」で説明しています。
遺品整理を業者に頼むときの確かめ方
国民生活センターには、見積もりの場で急かされて契約した、解約を申し出たら高額なキャンセル料を請求された、作業のときに見積金額の2倍を求められた、処分しないよう頼んだ物を処分された、といった遺品整理の相談が寄せられています(2018年7月公表)。
2025年10月の見守り情報でも、見積書をもらわずに頼み、当初約20万円と聞いていた料金を作業後に30万円と言われた事例が紹介されています。
国民生活センターの助言をまとめると、確かめることは次のとおりです。
- 複数の事業者から見積もりを取り、作業内容と費用を示してもらう。
- 料金・キャンセル料・作業内容を、契約の前に確認する。
- 残す物と処分する物を分けておき、作業にはできるだけ立ち会う。
- 不用品を運ぶ事業者が、市区町村の委託業者か「一般廃棄物処理業の許可」を持っているかを市区町村の窓口で確かめる。遺品を買い取る事業者には「古物商の許可」が要る。
- エアコン・テレビ・冷蔵庫(冷凍庫)・洗濯機(衣類乾燥機)は家電リサイクル法に基づき、小売業者などに引き取りを頼む。
- 困ったときは、消費者ホットライン188で最寄りの消費生活センターに相談する。
相続放棄をしないと決まり、実家の片付けを業者に頼む段になったら、遺品整理の業者を紹介してもらうサービスを使う方法もあります。放棄を考えている間は、上のとおり先に弁護士・司法書士に相談してください。
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遺品整理110番
遺品整理の業者を紹介するサービス
良い点- 実家の地域で作業する業者を紹介してもらえると広告主が案内している(見積もり・作業は紹介先の業者が行う)。紹介される業者の数は申し込むときに確かめる
- 見積もりは無料と広告主が案内している
気になる点- 見積もりと作業をする業者は地域によって異なる
- 料金は間取り・物量・地域で変わるので、見積書の内訳と追加料金の条件は業者ごとに確かめる必要がある
見積もりを頼むときは、通帳・権利証・保険証券・郵便物などの書類は残すよう先に伝え、作業に立ち会える日を選ぶと、手続きに要る書類を残せます。比べるときは、①見積書に作業の範囲と処分費が分けて書いてあるか ②キャンセル料と、当日に追加料金が出る条件 ③不用品を運ぶ事業者の許可、の3つをそろえて見ると、業者ごとの違いが分かります。
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よくある質問
葬儀のあと、まだ一度も役所に行っていません。大丈夫ですか?
死亡届の提出と火葬許可証の受け取りは、葬儀社に頼めることがあります。葬儀社に頼んだかどうかと、火葬許可証を誰が持っているかを確かめてください。次は14日以内が目安の手続き(国民健康保険・介護保険の資格喪失、世帯主変更など)です。死亡届を受けて市区町村が自動で処理し、家族の届出が要らない手続きもあるので、実家のある市区町村のおくやみ窓口か担当の課に、何が残っているかを聞いてください。期限を過ぎたときの扱いは手続きごとに違うので、気づいた時点で窓口に相談してください。
遠方に住んでいても手続きできますか?
できる手続きがあります。死亡届は届出人の所在地の市区町村にも出せます。国民健康保険・介護保険・世帯主変更は実家のある市区町村の手続きですが、郵送や電子申請を受け付けている市区町村もあります。親の戸籍は、2024年3月1日からの広域交付で、子が自分の住む市区町村の窓口で請求できます(本人が窓口に行く必要があり、郵送や代理人による請求はできません)。どの手続きが郵送でできるかは、実家のある市区町村の案内で確かめてください。
世帯主は誰にすればいいですか?
世帯主が亡くなり、同じ世帯に15歳以上の人が2人以上残る場合は、新しい世帯主を決めて14日以内に届け出ます。1人だけ残る場合など、新しい世帯主が誰か決まっているときは、届出は要らないとする市区町村が多いです。誰を世帯主にするかで国民健康保険料などの扱いが変わることがあります。どちらがよいかは世帯の事情で変わるので、実家のある市区町村の窓口で聞いてから届け出てください。
年金の死亡届は出さないといけませんか?
日本年金機構にマイナンバーが収録されている方は、年金受給権者死亡届(報告書)は原則として出さなくてよいと案内されています。届出が必要な場合は、厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内です。どちらの場合も未支給年金の請求は別に必要で、届出が遅れて亡くなった日の翌日以後に年金を受け取った場合は、あとで返します。収録されているかどうか分からないときは、年金事務所かねんきんダイヤルで確かめてください。
親の口座はいつから使えなくなりますか?
全国銀行協会は、金融機関に相続の連絡をすると、亡くなった方の口座の取引(入出金など)は原則として制限されると案内しています。公共料金やカードの引き落とし先が親の口座なら、連絡の前後に各社へ支払い方法の変更を伝えてください。葬儀費用などのために、遺産分割の前でも、口座ごとに一定の額(同じ金融機関からは150万円が上限)まで払い戻せる制度があります(民法909条の2)。相続放棄を考えている場合は、払い戻しを受ける前に弁護士・司法書士に相談してください。計算の仕方は「親の葬儀費用は誰が払う?」で説明しています。
出典一覧(資料名・参照日)